小説を書く際、自分の知らない知識を補填するために欠かせないのが「資料本」です。
自分の知識量に限界がある以上、資料本は「小説を書くために必須」と言っても過言ではありません。
特にファンタジー小説は、「作者オリジナルの世界」を構築する必要があるため資料の重要性は高くなります。
そんな資料本ですが、多種多様な本が販売されているため「どの本が良いのか」迷う場面も多いのではないでしょうか。
加えて資料関係の本は結構いいお値段がするので、できるだけ失敗したくないですよね?
そこでこの記事では、ファンタジー小説を書くための「おすすめ資料本」をまとめてみました。
ぜひ参考にしてみて下さい!
記事の内容
『ストーリー作り』に役立つおすすめ資料本
シナリオのためのファンタジー事典 知っておきたい歴史・文化・お約束121
この本の特徴
- 各章で様々なジャンル(国家・魔法・武器・宗教・世界・魔物・社会・人々)を幅広く解説している
- 基本的には資料の解説本だが、ファンタジー世界の作り方指南なども多少書かれている。
- 小説のアイディアを思いつく足掛かりとして活用できる
注意点
- それぞれの分野を深く掘り下げているわけではない
→気になる部分は改めて専門書を読もう
こんな人にオススメ
- 初めてファンタジー小説に挑戦する人
- ファンタジーに活用できる知識を、幅広く得たい人
この本は一言で言うと「ファンタジー小説作りの入門書」的な本です。
「ファンタジー小説を書きたいけど、どの本を参考にするべきか迷っている」という方は、とりあえずこの本を読んでから、必要な専門書なり資料本を買い足していくというやり方がおすすめ。
初めてファンタジー小説を書く人の「最初の一冊」にイチオシの資料本です。
ゲームシナリオのための戦闘・戦略事典 ファンタジーに使える兵科・作戦・お約束110
この本の特徴
- 戦闘・戦術・戦略の基本を知ることができる
- それぞれの兵士・兵科が得意なことや弱点なども解説されている
- 魔法使い・竜騎士といった架空の兵科の戦い方、運用法なども書かれている点が面白い
注意点
- あくまで入門書的な内容
→さらに詳しく知りたい場合は専門書を読もう - 現代の戦闘に関しては載っていない
こんな人にオススメ
- 戦記ものを書きたい
- 集団戦闘の基本が知りたい
- 軍師・将軍・隊長ポジションのキャラを登場させる予定
『キャラクター作り』のおすすめ資料本
十三世紀のハローワーク 中世実在職業解説本
この本の特徴
- ゲームの設定資料集のような書き方がされていて、楽しく読み進めることができる
- 「本当にこんな職業あったの?」と思うようなマイナーな職業も解説されている
こんな人にオススメ
- 次回作のアイディアを練っている
→マイナー職業から意外なネタを思いつくかも? - 作品中に多種多様な職業を登場させたい
他の本では出てこないような珍しい職業も解説された資料本。
ゲームの設定資料集のような書き方がされているので、読み物としても楽しい。
載っているイラストは『世界樹の迷宮』とか『サモンナイト』に近い感じです。
楽しく読めて、知識の引き出しも増える。そんな一冊です。
『世界観』を考える時のおすすめ資料本
空想世界構築教典 増補改訂完全版
この本の特徴
- トールキン(指輪物語の作者)の世界観を土台に「自身の空想世界を考えていこう」という趣旨の本
- 各ページのチェックポイントには、自分のファンタジー世界を創造するときに「押さえておくべき要素」などもアドバイスされている
- トールキン世界の解説に始まり、ファンタジー世界の構築に関する考え方、幻獣、武器・戦闘、魔法に関する説明が書かれている
- 巻末には、著者のオススメ小説を紹介した「ファンタジー小説ガイド」もある(増補改訂完全版の特別付録)
注意点
- ものすごく分厚い
- 各分野の情報量は、専門書には劣る(基本を知るには十分)
こんな人にオススメ
- 指輪物語などのトールキンの世界観が好き
- ファンタジー世界を作っていくためのガイドブックが欲しい
この本は資料本というよりは「ファンタジー世界の作り方を指南する手引書」です。
自身の世界を構築するときに考えるべきことや、気を付けるポイントなどがアドバイスされています。
ただし、すごく分厚い本なので読むのが大変です。
ヨーロッパの街並・路地裏・村(背景ビジュアル資料)
この本の特徴
- ヨーロッパにある街や村の様々な写真が載っている
- 看板や銅像などの写真も多少ある
注意点
- 小説用の資料ではなく、絵を描く人向けの資料本
→写真集として見る分には小説にも十分活用できる - 写真は外観(外から見た構図)が中心で、建物内部の写真はない
→同シリーズの他の本には内部の写真が載っている本もある
こんな人にオススメ
- ヨーロッパの街並や村の雰囲気を写真で見たい
「資料本の言葉による説明だけでは、いまいち感覚がつかめない」という方は、写真をみて実際の雰囲気を感じる方法もあります。
この本以外にも、いろいろな資料用の写真集がありますので、自分に合いそうな本を探してみるのも面白いですよ。
ちなみに、この『背景ビジュアル資料』シリーズの本は種類も豊富です。ヨーロッパ関係だとコチラも。
ファンタジー小説では、ヨーロッパ風の館や村は「必ず登場する」と言っても過言ではない場面です。実際に現地に足を運ぶのは難しくても、これらの本を見ることでイメージの補強に役立ちます。
「自分の小説に出したい」と思えるような風景が見つかるかもしれません。
小説を書く時って言葉だけで考えてしまいがち。写真や映像を見ることで気が付くこと、思いつくことも沢山あるよ!
『名前』を考える時のおすすめ資料本
クリエーターのためのネーミング辞典
この本の特徴
- 約2800の日本語が8か国語の単語で一覧表示されている
→「炎」は英語で何と呼ぶのか? ドイツ語では? フランス語では? という疑問に対する答えが一目でわかる。 - 単語を調べるうちに、思いがけずカッコいい言葉・かわいい言葉に出会って創作意欲が湧く
注意点
- この本に収録されているのは8か国語(おまけ3か国語)だが、他のネーミング辞典には13か国語収録の本もあり
→いろいろなネーミング辞典が出ているので、気になる人はチェックしてみよう
こんな人にオススメ
- 名付け作業をスムーズにしたい
- 長編作品を書く予定で、たくさんの名前を考えなくてはいけない
小説を書く上で地味に大変なのが「名前を考える」作業です。
キャラ名、技名、地名、都市名など。2つ3つならパッと思いつくけど、20や30となると悩みませんか? そんな時にとっても役に立つのが「ネーミング辞典」です。
こちらで紹介している『クリエーターのためのネーミング辞典』では、
・英語・ドイツ語・フランス語
・イタリア語・スペイン語・ラテン語
・ギリシャ語・ロシア語
の8か国語に加え、巻末付録で中国語、韓国(朝鮮)語、アラビア語の3か国語も紹介されています。
「この日本語は外国では何と呼ばれているのか?」を一覧表でわかりやすく紹介した便利本です。
目当ての単語を調べたり、単語同士を組み合わせてオリジナルの名前を作ったり。ネーミング辞典を1冊持っていると創作活動がはかどります。
小説以外にも、アカウント名やゲームの主人公名を考える時なども役立つ本。
和の幻想ネーミング辞典
この本の特徴
- 日本語のネーミングを考える時の参考書
- 約4000もの日本語の単語を収録
- 幻想的・非日常的な日本語がピックアップされている
こんな人にオススメ
- 和風ファンタジーを書こうと思っている
- 和名のキャラクター、技名、地名などが登場する作品を書く
- カッコいい、美しい、神秘的な日本語を知りたい
上で紹介した『クリエーターのためのネーミング辞典』とは違って、外国語ではなく日本語の名前を考える時に役立つ本。
現代の日常生活ではあまり使われない「幻想的な雰囲気を持つ単語」がピックアップされています。
神籟(しんらい)
和の幻想ネーミング辞典(新紀元社)P138より引用
神の声のこと。転じて絶妙な音、優れた詩歌、音楽の例え。
翠嶺(すいれい)
和の幻想ネーミング辞典(新紀元社)P115より引用
植物で緑色に染まった山の頂のこと。
この他にも約4000の日本語の単語を収録。和風ファンタジーや日本風のキャラクターが登場する作品を書こうと思っている方におすすめの一冊です。
カッコいい日本語が盛りだくさん! 簡潔に単語の意味が補足されているのも嬉しい。
おすすめ資料本【番外編】
自分が好きなゲームやアニメの設定資料集
この本の特徴
- キャラクターやモンスター、武器などのイラスト・設定画がメイン
- デザイナーやプロデューサーへのインタビュー記事も有り
注意点
- イラスト中心のため、ゲームの設定・世界観の解説はあまり書いていない
こんな人にオススメ
- グランブルーファンタジーが好き
- イラストが気に入った
これに関しては「自分が好きなゲーム・アニメの設定集」を読むのが一番ですね。
「資料として活用する」というよりは「自分が書きたい小説を見つける足掛かりにする」ための本といった使い方でしょうか。
上で紹介したのは『グランブルーファンタジー』というゲームのイラスト本です。
私自身このゲームは「少しプレイしたことがある」程度なのですが、イラストや世界観の雰囲気がものすごく好きなんですよ。
自分の中の「好き」という気持ちは作品作りに生かせます。
皆さんも「こんな作品を自分も作りたい」と胸が熱くなった経験はありませんか?
その熱意が執筆の原動力になってくれます。
それから、この手の本には作り手のインタビュー記事が載っている場合もあります。
「プロのクリエイターがどんな思いで、どんな考えで作品を作ったか」は、普段知ることができない貴重な情報です。そういう点でもオススメですね。
ただし、いくら好きでも既存の作品からそのままコピーするのはダメですよ。参考程度に留めましょう。
やっぱり「好き」って気持ちが創作活動の原動力!
まとめ
いかがでしたでしょうか? 以上が小説を書くための「おすすめ資料本(ファンタジー編)」の紹介になります。
今後も良さそうな本が見つかり次第、随時更新していくきます。
この記事を参考に、ご自身にピッタリの資料本を見つけて頂けたら幸いです。