・キャラクターってどうやって作ればいいの?
・魅力的なキャラクターを作るには、何を考えればいいんだろう?
小説における「キャラクター」は、とても重要な要素です。
そしてキャラクターを作るのに必要なものが、「キャラクターの設定」です。
しかし「いいキャラ設定ができた」=「いいキャラクターができた」ではありません。
なぜなら、設定だけのキャラクターは「動かない」からです。
その理由は、設定だけでは作者自身がキャラクターを十分に理解しきれないことにあります。
設定はゲームで例えると「説明書」のようなもの。
説明書を読んだだけで、ゲームの内容すべてを理解することはできません。
同じようにキャラ設定だけでは、キャラクターの深い部分まで知ることはできないのです。
とはいえ、設定を作ることは無意味ではありません。
設定はキャラクターを組み立て、深く理解する手掛かりになります。
この記事では、
という順番で、キャラクターの作り方をご説明します。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
作りたいキャラクターをイメージする
キャラクターを作る前に、
「なんとなーく、こんな感じのキャラを作りたいな」
というイメージを用意しておきましょう。
この時点で、具体的なイメージが無くても大丈夫。
リラックスして、のびのびと想像してみて下さい。
イメージの手掛かりとなるやり方を、二つご紹介します。
モデル(もともと存在する人物、キャラクター)からイメージする
芸能人や歴史上の人物、創作物のキャラクターなどをベースに、キャラクターを作るのもありです。
このやり方は、すでに存在する人物をモデルにするため、イメージしやすいのが強みです。
自分が好きなキャラクター、「この人、いいキャラしてるな~」と思う人物などを参考にしましょう。
その人物の特徴を一部だけ借りる。
複数の人物の特徴を組み合わせる。
といったやり方もあります。
注意点として、当たり前ですがその人物を丸ごとコピーするのはダメです。
あくまで「参考にする」程度にして下さい。
ストーリー上の必要性からイメージする
「自分が考えているストーリーを成立させるには、こういうキャラが必要だ」というストーリー上の必要性からイメージするやり方です。
例えば「勇者と魔王が対決する物語」なら、「勇者」と「魔王」はストーリー上絶対に必要になります。
そこから「どんな勇者なら読者が応援してくれるか」「どんな魔王なら物語が盛り上がるか」と、イメージを膨らませていきましょう。
キャラクターの魅力を考える
読者にキャラクターを好きになってもらうには、そのキャラクターに「魅力」がないといけません。
とはいえキャラクターの魅力とは、具体的にどんなものでしょう?
キャラクターの魅力は、大きく分けて二つあります。
キャラクターの魅力
・読者から遠い魅力(人間離れした強さ、精神性など)
・読者から近い魅力(欠点、失敗、弱さ、平凡さなど)
キャラクターの目的(夢)を考える
物語の中のキャラクターは、何かしらの行動をとります。
キャラクターが何もしない物語は、基本的にあり得ません。(それはそれで見てみたいですが笑)
そしてキャラクターは、行動の中で魅力を発揮していきます。
自分のキャラクターが、何のために行動するのか考えてみましょう。
この「何のために」が重要です。
読者の共感を得られる行動理由ならば、読者はキャラクターに感情移入してくれます。
キャラクターが行動を起こす理由を考え、目的を達成するにはどうすれば良いのか想像してみましょう。
キャラクターの目的
・復讐のため ⇒ 復讐相手を探し出し、敵を討つ
・お金のため ⇒ 命がけのギャンブルに挑む
・生きるため ⇒ 追っ手から身を隠し、逃げ切る
・愛のため ⇒ 恋人の病を治す方法を見つける
キャラクターが目的のために行動を起こすことで、物語は動きます。
キャラクター同士の目的がぶつかれば、そこに対立が生まれ、ドラマが生まれます。
キャラクターが目的達成のために立ち向かう姿に、読者は惹かれるのです。
キャラクターの長所を考える
キャラクターの長所も考えてみましょう。
下に長所の種類をリスト化してみました。
- 身体的長所
- 見た目(美形、髪が美しい)
- 身体能力が高い(強靭な肉体、足が速い)
- 精神的長所
- 性格(家族思い、ユーモアがある)
- 心の強さ(勇気、忍耐、高潔)
- 能力・技術的長所
- 特殊能力・異能
- 技術面(ドリブルが上手い、手先が器用)
- 知識面(植物学の専門家、日本史が得意)
- 経歴・出生的長所
- 生まれ(王族、貴族、富豪)
- 経歴(一流大学卒業、元勇者)
- 職業(料理人、パイロット、魔王)
この他にも思いついた長所があれば、どんどん組み込んでください。
読者があこがれるような、魅力的な長所を持つキャラクターを考えていきましょう。
上記の長所をすべて持っているキャラクターでなくても大丈夫です。
ご自身のキャラクターに必要な部分だけ、取り入れて下さい。
キャラクターの短所を考える
続いてはキャラクターの短所です。こちらもリストにまとめてみました。
基本的には長所の反対ですね。
- 身体的短所
- 見た目(不潔、髪がボサボサ)
- 身体能力が低い(逆上がりができない、動きが鈍い)
- 精神的短所
- 性格(短気、他人に冷たい)
- 心の弱さ(臆病、卑怯者、あきらめ)
- トラウマ(火が怖い、犬が苦手)
- 能力・技術的短所
- 特殊能力・異能(ハズレ能力、能力を上手く使えない)
- 技術面(絵が下手、料理がまずい)
- 知識面(数学が苦手、魔法に必要な知識がない)
- 経歴・出生的短所
- 生まれ(貧乏、殺し屋一家)
- 経歴(元山賊、敵対していた国の軍人)
- 職業(どろぼう、魔王)
ここで補足ですが、状況次第で長所は短所に、短所は長所になりえることを覚えておいてください。
例えば長所の「貴族の生まれ」は、「側室の子で、正妻の子からいじめを受けている」という状況であれば短所になります。
長所と短所の両方に書いた「魔王」は、魔族から見れば最高の地位である反面、人間社会の中では敵とみなされてしまいます。
このように、キャラクターを取り巻く状況も考えて設定してみて下さい。
また、「トラウマ」は物語の中で重要な要素となる場合が多いため、あえて「心の弱さ」とは別にしました。
回想シーンで語られることも多いですよね。
トラウマからキャラクターの目的(夢)が発生することもあります。
特に注意して考えてみて下さい。
もちろん、ご自身のキャラクターや物語に不要な部分は、無理に考えなくて大丈夫です。
キャラクターの設定を考える
「キャラクターの設定」を作るには何を考えればいいのか。
こちらもわかりやすくリスト化しました。
長所と短所のリストと重複する部分もありますが、キャラ設定の「まとめ」として入れてあります。
- 名前
- あだ名・異名
- 性別
- 種族・人種
- 年齢
- 外見
- 身長・体重
- 身体的特徴(髪型、目の色、傷、タトゥーなど)
- 服装
- 出身
- 家族構成
- 人間関係
- 性格
- 態度
- 習慣
- 癖・口ぐせ
- 職業
- 好きなもの・趣味
- 嫌いなもの
- 目的・夢
- 長所(得意なこと、強み)
- 身体的長所(見た目、身体能力が高い)
- 精神的長所(性格、心の強さ)
- 能力・技術的長所(特殊能力・異能、技術面、知識面)
- 経歴・出生的長所(生まれ、経歴、職業)
- 短所(弱点、欠点、悩み、苦手なこと)
- 身体的短所(見た目、身体能力が低い)
- 精神的短所(性格、心の弱さ、トラウマ)
- 能力・技術的短所(特殊能力・異能、技術面、知識面)
- 経歴・出生的短所(生まれ、経歴、職業)
- その他(思いついたことメモ)
見ての通り、長所と短所にかなり力を入れてます。
やはりキャラクターの魅力に直結する部分ですからね。
「キャラクター設定に不慣れだ」という方は、こちらのリストを参考に考えてみて下さい。
また、
・自分が思いついた要素をリストに足す
・いらない要素をリストから削る
などして、使いやすいように改良していただいてもOKです。
作ったキャラクターを動かしてみる
キャラ設定が出来上がったら、そのキャラクターがどのように動くのか(どんな行動をとるのか)を考えてみましょう。
冒頭で述べた通り、「良い設定ができた=良いキャラクターができた」ではありません。
考えた設定をもとに、キャラクターがどんな行動をとるのかが重要なのです。
なぜなら読者が見ているのはキャラクターの設定ではなく、キャラクターの行動だからです。
「かっこいいキャラクター」とは「かっこいい行動をとったキャラクター」。
「かわいいキャラクター」とは「かわいい行動をとったキャラクター」なのです。
キャラクターの魅力は、その行動に現れます。
特に小説では(イラスト付きでない限り)物語は文章によって表現されます。
漫画やアニメのように、絵や音声でキャラクターの魅力を伝えることはできません。
「このキャラクターはイケメンである」と書くよりも、「キャラクターにイケメンな行動をとらせる」方が、よりキャラクターの魅力を表現できます。
そしてキャラクターを動かすためには、作者がそのキャラクターを深く理解している必要があるのです。
実際にキャラクターを動かしてみよう
連載マンガに登場するキャラで、最初はあまりパッとしないキャラっていますよね。
ところが物語が進むにつれ、そのキャラクターが生き生きと魅力的になることがあります。
その理由は作者がキャラクターを使っていくうちに、深く理解できてくるからです。
つまり、実際にキャラクターをいろいろな場面で使うことにより、
「このキャラはこの状況だとこんな行動をとるのか」
「こんなセリフを言うのか」
といった気付きや経験を得られるわけです。
そこで、キャラクターの動かし方の練習法を二つご紹介します。
難しく考えず、暇なときに遊び感覚で試してみて下さい。
キャラクター設定をキャラクター自身に質問する
このやり方は一言で言うと、自作のキャラクターにインタビューしてみる方法です。
例を挙げると、こんな感じ。
キャラクターへの質問
・お名前は?
「春 雪子(はる ゆきこ)です」
・年齢は?
「言いたくありません。
どうしても? 言いたくありません」
・好きなものは?
「あきてきました」
・嫌いなものは?
「帰っていいですか?」
・将来の夢は?
「…………………(帰った)」
ほとんど答えてないじゃん! というツッコミが入りそうですね(笑)。
ですがこの子がどういうキャラなのか、何となくわかったのではないでしょうか。
このように、設定を考えるだけでなく実際に動かしてみると、キャラクターを理解するのに役立ちます。
自作のキャラクターを他作品に入れてみる
この方法は、自作のキャラクターが他の作品(自分が好きな作品)の世界に存在していたら、どんな行動をとるのかを想像するやり方です。
他作品のキャラたちと、どんなふうに関わるのか。
あるいは、原作の流れを変えるほどの活躍を見せるのか。
好きなように想像してみます。
入浴中や電車の中など、あいた時間の暇つぶしにもおすすめ。
また、「この物語にこんなキャラが乱入したらおもしろい」という想像から、新しい物語を思いつくきっかけになったりもします。
まとめ
以上が「小説におけるキャラクターの作り方」になります。
最後にもう一度、内容をおさらいしましょう。
小説におけるキャラクターの作り方
・作りたいキャラクターをイメージする
→モデル(もともと存在する人物、キャラクター)からイメージする
→ストーリー上の必要性からイメージする
・キャラクターの魅力を考える
→キャラクターの目的(夢)を考える
→キャラクターの長所を考える
→キャラクターの短所を考える
・キャラクターの設定を考える
・作ったキャラクターを動かしてみる
→キャラクター設定をキャラクター自身に質問する
→自身のキャラクターを他作品に入れてみる
読者が好きになる作品とは、「自分の好きなキャラクターがいる」作品です。
魅力的なキャラクターは、読者を物語の世界へ引き込んでくれます。
何より、キャラクターを作るって楽しいですよね。
最初は難しく考えず、
とりあえず自分の好きにキャラクターを作る。
⇒この記事のリストをチェックしつつ、キャラクターを肉付けする。
⇒暇なときに動かしてみる。
といった感じでやってみて下さい。
あなたが小説ライフを心から楽しめるよう応援しています。