・「世界観」を作るには、どんなことを考えればいいの?
・小説の世界観の作り方を知りたい
小説の物語は、作者が創造した「世界」の中で展開していきます。物語を作るうえで、「世界観」を考えることは必須の作業です。
この記事では、
という順番で、小説の世界観の作り方をわかりやすく解説していきます。
ぜひ参考にしてみて下さい。
小説における「世界観」の役割とは?
「小説の世界観」という言葉の意味は割と曖昧(あいまい)で、人によって解釈が違ったりします。
そのため、この記事では「世界観=作品世界の設定」というカタチで話を進めていきたいと思います。
ここで一つ質問です。あなたが映画を見に行くとき、一番楽しみなことは何ですか?
大体の方は「キャラクター(役者さん)が見たい」「ストーリーを楽しみたい」あたりが一番ではないでしょうか?
「俺は世界観が一番楽しみなんだ!」という方は、まったくいないとは言いませんが、かなり少数派でしょう。
小説も同じです。
特にラノベ系で一番重要なのはキャラクター、次いでストーリーです。
世界観に関しては手を抜いていいワケではありませんが、重要度はキャラやストーリーよりも下回ります。
部活に例えるとキャラやストーリーが選手で、世界観はそれらを支えるマネージャーですね。
世界観はキャラクターやストーリーを輝かせるのが仕事であって、世界観自体が主役ではないのです。
世界観の役割をしっかり理解して、限られた時間や気力を有効に使いましょう。
「世界観に力を入れすぎて、キャラやストーリーを考える前に疲れた」となってしまわないように。
もっとも、数ある小説の中にはマネージャー(世界観)の方が選手たち(キャラ・ストーリー)よりも輝いている作品もあります。
それもまた、小説の面白いところですね。
世界を作るために必要なこと
「世界」を作るためには、考えるべき要素がたくさんあります。例を挙げると、
「世界」を構成する要素
・政治 ・経済 ・法律 ・文化
・風習 ・国家 ・宗教 ・軍事
・地理 ・歴史 ・環境 ・気候
などなど……
この他にも、まだまだあります。
私たちが暮らしている現代社会も、様々な要素が組み合わさって作られていますよね?
理想はこれら一つ一つの要素をしっかりと考え、独自の世界観を作り上げていくことなのですが……。
これ、全部考えられますか?
それぞれの要素を調べるだけでも、かなりの時間がかかります。
少なくとも、私はできません。というか、やりたくありません(笑)。
このように、いきなり「世界」という大きなものを考えるのは大変なのです。
そこでこの記事では、段階的に世界を組み上げていく方法を取ります。
最初に物語の「舞台」、次いで物語世界の「常識」を決めます。
そこから徐々に「世界を広げていく」という考え方です。
物語の「舞台」を考える
物語の舞台とは「作品の中心となる場所」です。
例(物語の舞台)
・桃太郎 → 「おじいさんとおばあさんの家」「鬼が島」
・うらしま太郎 → 「竜宮城」
小説では、物語の舞台を中心にストーリーが展開していきます。
「舞台」を考えるために、まずは二つの要素を決めましょう。
物語中の「時代」と「地域」の設定です。
例(時代設定)
・現代 ・近未来 ・戦国時代
・西部開拓時代
例(地域設定)
・日本 ・アメリカ ・ヨーロッパ
また、ファンタジー小説の場合は、参考にする時代・地域を設定しましょう。
例(和風ファンタジー)
・時代 → 「江戸時代」
・地域 → 「日本」
・舞台 → 「妖怪が暮らす街」
例(学園ファンタジー)
・時代 → 「中世」
・地域 → 「ヨーロッパ」
・舞台 → 「魔法学園」
「時代」と「地域」を決めるだけで、「舞台」のイメージがしやすくなります。
そこに「自分のアイディア」や「自分らしさ」をプラスして、独自の「舞台」を作っていきましょう。
物語の「常識」を考える
物語の常識とは「作品世界の中では当たり前なこと」です。
例(物語の常識)
・魔法やモンスターが存在する。
・人類が地球以外の惑星にも住んでいる。
・魔族に支配された世界。
「常識」を作るためには、政治、経済、法律なども考える必要があります。
ですが前述の通り、私はあまり難しいことを考えたくないので(笑)。
とりあえず、次の質問を考えて下さい。
それは「作品世界の中で、現実と違う常識は何か?」です。
現実と同じ部分に関しては、わからない時や必要になった時に調べましょう。
考えるべきは、「自分の作品世界で現実と違う部分」。
この現実の常識とは違う部分が、あなたの作品世界の特徴です。
つまり「個性」になるわけですね。
世界を広げる
ここで言う「世界を広げる」とは以下の通り。
1:新しい世界設定が必要な時に付け足す
2:新しい世界設定を思いついた時に付け足す
3:今の世界設定より、良い設定を思いついた時に手直しする
の三つのパターンです。
「舞台」と「常識」を決めたことで、舞台の外に広がる世界のことも考えやすくなります。例を挙げると、
・時代 → 「現代」
・地域 → 「日本」
・舞台 → 「東京にある架空の都市」
・常識 → 「基本的には現実の常識に準拠」「人間に『階級』がある」「階級が下の者は、上の者に逆らえない」
このような設定の場合、この作品の世界観は「現代社会」近いものになります。
少なくとも「東京にある架空の都市」を出たらゴブリンがいるとか、宇宙戦艦がドンパチやっている可能性はないでしょう。
先に「舞台」や「常識」を決めておくと、「世界の方向性」も決まります。
前にも書いた通り、いきなり世界の全てを考えるのは大変です。
少しずつ、アイディアを思いついた時に世界を広げていきましょう。
資料を参考に想像を膨らませる
世界を考える時、自分の中にある知識だけでは限界があります。そこで、本やネットの記事を参考資料として活用しましょう。
「知識」という土台が無ければ、新しいアイディアは生まれません。
興味がある分野や「いいな」と思うものはどんどんインプットしていきましょう。
「興味を持つ」ということも、私は一つの才能だと思っています。自分と何か通じるものがあるから、その事を「もっと知りたい」気持ちが湧いてくるのだと。
「興味を持った事と自分は相性がいい」と思って、自分の中の知識を広げていきましょう。
「どんな本を資料にしたらいいの?」という方のために、私がいつも参考にしている本をご紹介します。
ファンタジー系のアイディアを練る時に最適の本。ファンタジー世界の基本を、広く浅く説明しています。
あくまで「広く浅く」なので、より深い情報を知りたい場合はその分野の専門書を読みましょう。アイディアの取っ掛かりとして、十分に活用できる一冊です。
中世ヨーロッパの職業をまとめた本です。
かなりマニアックな職業も書かれています。
ゲームの設定資料集のようで、見ていて楽しい。イラストもかわいい。そんな一冊です。
これ以外の「おすすめ資料本」も下記の記事にまとめてありますので、気になる方はチェックしてみて下さい。
こちらもCHECK
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小説を書くなら必須級!おすすめ資料本まとめ【ファンタジー編】
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まとめ
以上が「小説の世界観の作り方」になります。最後にもう一度、内容をおさらいしましょう。
小説の世界観の書き方
・小説における世界観とは?
→世界観はキャラクターやストーリーを支えるのが役割
・世界を作るために必要なこと
→まず物語の「舞台」と「常識」を作る
→徐々に世界を広げていく
・物語の「舞台」を考える
→「時代」と「地域」を決めると、「舞台」のイメージがしやすい
・物語の「常識」を考える
→「作品世界の中で、現実と違う常識は何か」を考える
・世界を広げる
→「舞台」と「常識」を決めると、「世界の方向性」も決まる
→資料を参考に想像を膨らませる
世界観の作り方の流れを簡単にまとめると、
「時代」や「地域」を設定し、物語の「舞台」を作る。
⇒作品世界の「常識」など、設定を肉付けしていく。
⇒新しいアイディアを思いついたら、付け足したり手直しする。
といった感じです。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
あなたが小説ライフを心から楽しめるよう応援しています。